爆破予告教習所(1)
「合格させないと爆破」 免許70回以上失敗の男を逮捕(gooニュース) http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/nation/CO2007060801000473.html
「なんでオレが不合格なんだよ! ふざけんな!」
ぺらっぺらの紙切れ一枚叩きつけ、ズンジは喚き散らした。
紙には、大きな文字でたったひとこと。
『不合格』
「おいオッサン! 今度のは完璧だったろうがよ!」
不合格、と書かれた紙を手渡した張本人は、仕立てのよさそうなグレーのスーツに身を包み、髪は七三、メガネは銀縁。
「教官、と呼びなさいズンジさん。……あなたの答案、どこが悪いかわかりますか?」
「どこももエーユーもあっか! オレの答案、ケチつけれるってんなら付けてみろ!」
「仕方ありませんね……」
教官は机の上に積んだ紙束をぱらぱらぱら、とめくると、すばやくズンジの答案を抜き出し、机に広げる。
『合格させろ。さもなくば、爆破する』
「ほうれみろ、名文じゃねえか! サァサァ、ケチつけてもらおうじゃねえか! 返答次第によっちゃあ……」
息荒くまくしたてるズンジに、
「まず一点。どこの世界に、手書きの脅迫状を送る人がいますか」
「馬鹿野郎! 脅迫してやるぜ! っっつー強烈なアレを込めて伝えねえといけねえだろうが!」
「新聞を使って作るよう、学科で講義があったと思いますが?」
「ンなチンタラしたことやってられかってんだよぉ!」
「新聞は最低限の必須項目ですよ、ズンジさん? ま、もちろんあなたが合格したくない……プロの脅迫者として社会に出るつもりがない、というのであれば強要はしませんが」
(掲載:2007年06月09日)